【中東縦断記】イスラエル編②〜死海〜

引き続き、イスラエル縦断の旅行記です。昨日行くことのかなわなかった死海にリベンジ。
(なぜ行けなかったのかについては前回のポストで)
It’s a sequel of my travel report from Israel. This post is about Dead Sea.

エルサレム二日目〜死海〜

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閉鎖されていたエンゲディ死海ビーチ

スケジュールを参考に朝早い時間にバスターミナルへ行き、カウンターへ。
昨日の係員と一転、今日の女性は笑顔で対応してくれて、私が「エンゲディへ行きたいんです」と言うと、「それなら一日券を買うのが一番安いわよ」と、私の持っているNav-Kavカードを機械に通し手続きしてくれる。一日券で26.5 NIS。事前情報では往復で63.6NISと聞いていたので、やけに安い。
列に並んでバスが到着するのを待ち、いざ乗り込もうとすると、しかし問題発生。
運転手が私のチケットを機械に通して首をふる。
「何もチャージされてない」
え!?さっき買ったのに!?
「カードのバランスは0シュケルだ」
そんな!?昨日チャージした分も全部消えちゃったってこと!?ちょっとカウンターのお姉さん〜〜〜〜!!!
確かに買ったんだ、カウンターの人の手違いだと思うから確認してきてもいいか、と英語で尋ねると、運転手は、もう出発するから駄目だとにべも無い。
レシートを出して、確かに買ったの!と必死に説明すると、運転手は舌打ちでもしそうな様子で、じゃあいいから乗れ、と乗せてくれた。イスラエルの人は、基本ヘブライ語が喋れない人間に冷たい。勿論例外はあって、エラットのバスターミナル内の購買で水を買おうとした時には、レジのおじさんが私にヘブライ語の挨拶(ありがとう=トッダラバ)を教えてくれたけれど、全体的に言うと、ヘブライ語を解さない人間に対して容赦ない印象がある。
とにかくなんとかバスには乗れて一安心。ここからエンゲディまでは行ける。
エルサレムから死海へは、海岸がよく見えるので進行方向左側に陣取り、ひたすら外を眺めること一時間半。

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車窓からの風景

左手に広がる美しい海と、右手にそびえる険しい岩山を写真に撮るうちにエンゲディに到着、下車する。
ビーチとかではなくて、荒れ地にあるただのバス停。私の他にも何人かが下車したのだけれど、全員山の方へ消えてしまい(地図によると、青年の家みたいなのがあるみたいだったので、そこへ行ったのかもしれない)
私はビーチへ……

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ビーチへ……

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ビーチへ……

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行く道がない!案内表示も無い!
ひたすら道路が続いているだけ。とても死海ビーチがあるとは思えない。
仕方ないので、ガードレールを乗り越え、海に向かって歩き始める。
がここで緊急事態発生。
トイレに、行きたい。
しかしビーチらしきものは、無い。
仕方ないので(再び)、荒れ地の真ん中にしゃがみ込んで用を足す。
こういう時に備えてティッシュと、ウェットティッシュと、簡易的なゴミ袋は持ち歩いている。私は大学一年の時に外モンゴル新疆ウイグル自治区へ行って、そこの草原や砂漠でトイレと言う概念を喪失してしまったため、人さえいなければどこでもトイレ出来る野蛮人なのです。

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そのまま歩き続けると、半分崩壊しかかった人口橋を発見。
入り口は封鎖されており、その奥には一応建物らしきものも見える。でも明らかに打ち捨てられた様子だ。

どうやら、エンゲディ・ビーチは2016年現在、岩盤事故か何かにより閉鎖されているらしい。
だから昨日のカウンターの人はエンゲディへのバスは無いと言っていたのか。一応バス止まったけれど。
でも今日のチケットカウンターの人もバスの運転手さんも何も教えてくれなかった。こんな首からタオルかけて帽子被ってサングラスしてるようなザ・海行きますみたいな格好してたら、「ビーチ、閉まってるよ」と一言教えてくれてもよさそうなのに……。

なんて言っても仕方ない。きっと彼等には彼等の事情があるように、彼等もまた私に何らかの事情があって閉鎖されたビーチに行きたがっていると思ったのだろう。
ここからさらに南へ下ったもうひとつの死海ビーチ、エン・ボゲックへは、バスで30分と聞いている。次のバスが来るのを待つのか、それともヒッチハイクを試みるか。迷いながら道に戻り、とにかくとぼとぼと南へ向けて歩く。そもそもの車の通り自体が少ない。

と、反対方向から来た一台の黒いバンが私の隣で止まった。

中には沢山の子供たちが乗っている。先程バス停で降りた乗客と同じく林間学校に行くのかもしれない。運転手が窓から顔を出して、私にどこまで行くのかと聞く。エンボゲックだ、と言うと、乗せてってやるからちょっとそこで待ってろ、と言い残し去ってしまう。
どうすべきか。とにかくバスが来たらそれに乗ればいいとして、ただ次のバスまでは大分時間がある。でも先程のバンのような個人の車には乗りたくない。考えつつ取り合えずバス停の隣で待っていると、バンが戻ってきた。子供たちは全員いなくなっている。運転手が扉を開けて、乗れ、と私を促す。
「いくら?」と聞くと、50シュケルだ、と言う。1500円。さすがに高く感じる。いや、だったらいい、と私が断ると、じゃあ20シュケル、と一気に半額以下にしてきた。まじか。一応ノートを取り出して、20?と書くと、確かにそうだと言う。私は言質をとった印にその数字に丸をつけて、ええい乗ってしまえ!と助手席に乗り込んだ。

何人か、フィリピン人か?と聞いて来る運転手の男に、いや、日本人だ、と答える。すると聞いていたのか、俺にはフィリピン人の友達がいる、と男は言う。それはよかったね、と返しておくと、フィリピンはどうだ?みたいなことを聞いてくる。かなり訛りの強い英語だ。風貌からしてユダヤ人ではなく、出稼ぎ労働者のようにも見える。いやだからフィリピン人じゃないんだって、日本人。そう言っても、男は、I seeと言ってニヤニヤ笑っているだけだ。絶対に分かっていない。一人か?と尋ねられ、一人だ、と言ってから、あ、しまった、と思ったものの既に遅い。それを聞いた男が、じゃあビーチに着いたら一緒に海に入ろう、と言ってくる。一人よりその方が楽しいよ、と。いやいやいい、私は一人が好きなの、だから一人旅をしているの、悪いけど一人でエンジョイしたいの、と言うも男は相変わらずニヤニヤ笑いを崩さない。なかなかに気持ち悪いぞ。しかしだからと言って強く断って下ろされたらかなわない。私は男のアプローチを、ひたすらSorryで乗り切る。30分だけでいいから一緒にビーチで遊ぼうよ、Sorry、20分だけ、Sorry、10分だけ、Sorry, but no. 私が答えても、男は「Sorry sorry?」と歌うように言って私の顔を覗き込んで来る。
……So irritating。
バスに乗っていれば、この無益な会話に精神を磨り減らすことも無く、本を読んで静かに時を過ごせたのに。
私は持っていた文庫本を鞄から出して、男に構わず読み始める。でも男がちらちらこちらを見てくるので全然集中出来ない。苦痛である。
そうすること30分、ようやくエンボゲックのビーチが見えてきたあたりで、男が再び、10分だけでいいから一緒にビーチに入ろう。一緒に浮かぼう、と誘いをかけてくる。
ところで「俺と一緒に浮かぼう」っていう誘い方、死海以外で絶対に使わないな!?
さすがに嫌気のさしていた私は、少し強めに、もうここでいいから下ろして、と言う。男は、いやいやパブリックビーチはまだ先だから、と結局エンボゲックビーチの一番南端まで行ってようやく下ろしてくれた。
20NISを押し付けるように渡して、ビーチに向かって走る。

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エンボゲックのパブリックビーチは工事中のフェンスに挟まれた区画で、正直水は濁っていてあまり美しくない。無料のシャワーがあって、何人かがぷかぷかと浮かんでいる。

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鞄をフェンスの横に置いて、日傘で隠すようにしてから、荷物に目の届く範囲で私も浮かんでみる。水着は持ってきてないし、一人でそんな危険な格好したくないので、普通にTシャツと短パンのままダイブ。海水は温泉のように熱い。十分エンジョイしたはいいものの、思い描いていたような塩の結晶等が見当たらないのが残念でならない。
正直別に泳いだり浮かんだりはいいから、綺麗な塩の海岸線を見たかったのだ私は。
諦めきれず、駄目元でプライベートビーチの方へ行くことにした。

エン・ボゲックの死海プライベートビーチへ侵入!

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プライベートビーチのホテル群

海岸沿いを、ビーサンでぺったぺった北上するが、工事中なのとホテルが建ち並んでいるのとで、海岸へ出れるような道は見当たらない。そうするうちにエンボゲックビーチの北の端に着いてしまった。こうなったら最後の手段。
私は何食わぬ宿泊客の顔を装ってぺったぺったとホテルに入り、フロントの前を素通りし、平然とトイレに入って手を洗い、宿泊客用に用意されていた水を飲み、そして宿泊客専用通路の案内に従って、プライベートビーチに出た。
……そう、というわけで、私氏、あっさり正面突破でプライベートビーチへの潜入に成功してしまいました。

セレブ達が優雅に遊んでいるプールの脇を通り抜けると、そこには美しい砂浜と、白磁を溶かしたような死海が広がっていた。

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しかも人がほとんどいない!
シャワーも浴び放題。
ここで荷物を置き、再びぷかぷか浮かび始める。

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事前情報では10分も浸かっていると肌がひりひりしてくるなどと聞いていたのだけれど私はそんなことなくて、結構長く浸かっていて全然平気だった。むしろ水が熱過ぎてギブアップした。定期的にシャワー浴びないと、のぼせるというか熱で肌が焼けそうだった。

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本当に素敵な光景。死海の向こうに見えるヨルダンの山並みも幻想的。それを眺めながら本を読むのも最高。
しかもプライベートビーチなのでまさかのWifiが通っていて、Twitterチェックなんかも出来た。

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帰る時間がどんどん遅れていって、ようやくよいしょと腰を上げたのはついに14時。図々しくもホテルのフロントの人に、エルサレム行きのバス停を英語で尋ねたらすごく丁寧に教えてくれた。不法侵入なのに申し訳ない。

帰りのバスは、半ば予期していた通り、カードに何もチャージされていないと言われ、仕方なく運賃を支払い直す。
エルサレムの長距離バスはここでもWifi完備なので、ありがたくインスタとTwitterに勤んだ。

エルサレム旧市街〜オリーブの丘・ゲッセマネの園

エルサレムに戻ってから、今日はオリーブ山やゲッセマネの園を歩いてまわる。
オリーブ山はエルサレム東郊にある丘陵。イエスが磔刑前夜をここで過ごし、弟子達に説教を行ったとされている。
オリーブ山と旧市街の間はケデロンの谷と呼ばれ、ユダヤ人墓地が丘の一面を埋め尽くしている。

ケデロンの谷 ケデロンの谷オリーブ山
ゲッセマネの園は私が行った夕方の時間帯には既に閉まってしまっていたが、丘の上まで長く続いていた階段を登ってみた。
ユダヤ人墓地を横に見ながら坂を下ると、丘の麓にある「マリアの墓教会」がまだ開いていたので入ってみる。
外観はシンプルな石造りだが、薄暗い階段から地下に下ると多くのランタン型の飾りが天井から吊り下がり、実に神秘的な雰囲気。

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エルサレム

帰り道。イスラエルの空は終焉みたいな色をしていてとても好きだ

この日は帰宅後、MayaanとSemが美味しいモロッコ/アフガニスタン風ユダヤ料理を作って振る舞ってくれた。二人は料理がとてもうまい。モロッコにルーツのあると言うMaayanは、母親伝来の、モロッコ風ユダヤ料理を振る舞ってくれた。たっぷり野菜と一緒に煮込んだクスクスのスープ。アフガニスタンルーツのSemも、チキンのフライと、瑞々しい野菜サラダを作ってくれる。どれもこれも、信じられないくらい美味しい。

ユダヤ料理

Maayan作のクスクス風ユダヤ料理。ひよこ豆たまらん。

ユダヤ料理

ドレッシングを絡めたサラダ

ユダヤ料理
私も日本料理を勉強して、今後誰かの家に泊まったり誰かを家に泊める時に振る舞えるようになりたい。

最後に、イスラエルに関するニュース記事を発信されているこちらのブログが非常に情報量が豊かなので、紹介しておきます。
オリーブ山便り

次回はパレスチナ編。

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