日本人以上にシャイ!?ポルトガルのアニメイベントIberAnime参加記

2016年5月7日と8日の週末、ポルトガルはリスボン、オリエンテ駅の近くにあるMEOアリーナで、同国最大のアニメイベント、IberAnimeが開催されました。
I went to the anime con “IberAnime” in Portugal on May 7th and 8th! Here is the report for the event.
前回記事のドバイのコミコンに参加後、モロッコ、スペインと巡りポルトガルに辿り着いた私、企業ブースで参加の前回とは打って変わって、今回は地道に一般参加です。

①IberAnimeとは?

ポルトガルのアニメイベントIberAnimeは、春に首都リスボン、秋に同国第二の都市ポルトでそれぞれ年一度ずつ行われています。主催はManz Productionという会社です。
IberAnimeは2010年から開催されていて、今年で6年目。
世界コスプレサミットのポルトガル代表選考会が開かれるイベントでもあります。

今年から規模を拡大しての開催となったIberAnimeの新しい会場であるMEOアリーナは、オリエンテ駅から大型ショッピングモールである「ヴァスコデガマ」を突き抜けてすぐの所にあります。
私が会場に到着したのは初日の午前10時。
10時半からの開場に合わせ、アリーナの周辺には雨の中長蛇の列ができていました。

meo arena

男女比でいうと、男性の方が若干多め。年齢層は20代くらいの方が多いでしょうか。

友人同士のグループで来ている参加者が目立ちます。

あと、これは欧米圏のどこのアニメイベントでもそうなのですが、カップルで来て会場でイチャイチャしている人も多い!そこここでチュッチュしてる……日本のオタイベだったら爆散しそうだ……!

ポルトガルのアニメファンの印象なのですが、とにかくシャイな人が多いイメージです。
並んでいる間、私は一生懸命周りの参加者に話しかけようとしたのですが、実はあまり反応が芳しくなく……。
これまで訪れた他の国だと、結構現地で友達を作れる事も多いのですが、ポルトガルのアニメファンの方々は、部外者を一歩引いたところから見ているような感じがして、初日、友達作りに苦労しました。(勿論一概には言えず、人それぞれです!)

今回チケットは一日目を事前にオンラインで購入。
一日券は18ユーロ、二日通し券は23ユーロと、後者の方が圧倒的にお得なのですが、
早い者勝ちのため、私が参加を確定させた時には既に売り切れてしまったいたのです orz。
新しい会場ということもあってか、参加者の誘導がうまく行っておらず、雨の中二時間近く待っての入場となりました。辛かった。

②いざ、会場の中へ!

会場の構成としては、中央に円形のライブステージと、体育館のようなゲーム・物販スペースがあり、そこをぐるりと囲むようにArtist Alleyや日本文化体験ブースが配置されています。

思った程会場は広くなく、特に中央の物販エリアは、あり得ない人口密度の高さでした。

inside iberanime

会場を順番に見て回ります。

おとなしめの同人ブース(Artist Alley)

Artist Alley(同人ブース)はあまり活気がありませんでした。数も総数15ブース程。イラストや同人誌はあまりなく、手芸やビーズアートのような手作り感溢れるものが多かったです。ポスターを売っているところは、日本漫画のアメコミ風アレンジイラストがメイン。

iberanime05

コミッションも行っていて、相場はサイズにもよりますがA5で約10ユーロといったところでした(上の写真では、1キャラなら7ユーロ、2キャラクターなら12ユーロと言う値段設定です)。このA5というサイズ、企業ブースのポスター(イラストカード)とかでも見かけたのですが、今まで他の国のコンベンションではあまりメジャーではないサイズだったので興味深かったです。

習字が大人気!文化体験エリア

文化体験エリアでは、日本語の書道パフォーマンスや、日本大使館の人にカタカナで自分の名前を書いてもらえるコーナーなどがありました。

shodou performance

草書……というよりは、漢字を書きなぐったように見える書道。観客がポルトガルで言った単語を、日本語で書くパフォーマンス。

shodou_embassy_Japan

日本大使館は結構大きなブースを出していて、参加者の名前を筆で書く無料の出し物をしていました。

この、カタカナで名前を書いてもらえるブース、長蛇の列が出来ていて、アニメだけでない日本文化一般への関心の高さが伺えました。

世界中からゲストを集めたコスプレ大会

cosplay world masters

初日にはCosplay World Mastersという大会のチャンピオンシップ、二日目にはグループでのコスプレコンテストが行われました。

ポルトガルでは、World Cosplay Summitのポルトガル予選の他に、Cosplay World Mastersという独自のコスプレ大会が行われており、ポルトガル国内のみならず、スペインやスロバキアなどの他の欧州各国の予選を勝ち抜いてきたコスプレイヤー、更には同じポルトガル語圏ということでブラジルのレイヤーさんも招待されてコスプレパフォーマンスを披露しました。投票により上位3位までが決定し、勝者には賞金750ユーロが授与されるようです。

このCWM(Cosplay World masters)とWCS(世界コスプレサミット)との違いは、CWMの題材がアニメに限らず、アメリカのゲームや映画でもOKなこと。
これはドバイのコスプレ大会でも感じたのですが、実は海外のコスプレコンテストでの衣装の題材は、日本のアニメよりも、アメコミ、特にゲーム「League of Legends」などのキャラクターの方が人気があるのです。
これはひとえに、衣装のディテールがアニメや漫画と比べるとゲームの方が圧倒的に凝っていて、しかも欧米人の骨格に合ったキャラクターデザインとなっているため、創作意欲をかきたてるからだと思われます。武器やらギミックも凝っているし、英語音声でのステージパフォーマンスも可能なので、コンテストに出た際高得点を狙いやすいのかもしれません。

とにかく、そういうわけでこのCosplay World Mastersも、海外発コンテンツの衣装が目立っており、大賞はブラジル代表に授与されました。

cosplay performance

優勝したブラジル代表のパフォーマンス

この代表のパフォーマンス、背景映像も非常に凝っていました。

ポルトガルのコスプレステージでは、バックのスクリーンに自由に映像を映し出してのパフォーマンスが許可されており、コンテスタントの映像技術の高さに驚かされました。

(コンテスタントの一人がfantasy of the dream という作品のコスプレをしていて、知らないなぁと思っていたら、なんとイラスト同人誌からの出典でした。ニッチなところ攻めて来るな〜!)

cosplay performance no1

優勝して賞金を手にするブラジル代表

コスプレと言えば、日本から超人気コスプレイヤーの麗華さんがゲストとしていらっしゃっていて、ウィッグカット講座と着物講座、それからサイン会をしていらっしゃいました!

reika

ウィッグカットでは、主催者側が用意したのがまさかのコスプレ用ではなくパーティー用のウィッグだったにも関わらず、分かりやすい説明できちんとセットされていて、会場のレイヤー達も興味津々でした!(私も興味津々でした!)

それではここで会場で見かけたポルトガル人美麗レイヤーさん達のお写真をいくつか。

cosplayer1

ハイクオリティ造形!

cosplayer2

二日目行動を共にしてくれた心優しいコスプレイヤーのアナイスちゃん。ヘスティアコス!

cosplayer3

ウォーグレイモン!!!

cosplayer5

デジモン勢揃い!日本で放映された映画がネットに出回っているのか、すごい人気でした。

cosplayer4

今回出会えて一番嬉しかったコスプレイヤー。BLゲームLAMENTOから、ライですよ……!大好きなキャラクター;;格好よかった……;;

cosplayer6

遊戯王!ウィッグの作りが秀逸です。

cosplayer7

ウィンリィfromハガレン!大きめに作ったスパナが特徴的。ポーズから歩き方までキャラクターらしくて素敵でした^^

コスプレ大会を見終え、レイヤーさんのお写真撮りながら会場をぶらぶらと歩いていると、急に大量の人がステージの周りに集まってきて……
唐突に、踊り出しました。
な、なんだこれは!?

なぜかポルトガル人オタクに大人気のPara Para Dance!

parapara

プログラム上で確認すると、パラパラという名前がついていたこの集団踊り。参加者は100人くらいはいたと思います。
日本で昔流行ったあのパラパラとは少し似て非なるというか、
いわゆる「ウマウマ」のような、即興で踊れる簡単な振り付けを皆で楽しむダンス。

これが物凄い大盛り上がり!

ステージの上でよく分からない仮面の男が踊るのを、観客全員が真似します。アニソンに限らず、テクノ系ミュージック一般。
確かにアメリカのイベントでも、クラブフロアなどがありましたが、ここまで熱狂的に皆が一斉に踊るところは初めて見ました。

ポルトガルではこれが大人気らしく、以前IberAnimeに、エヴァのOPを歌っている高橋洋子さんがゲストでいらっしゃった際にも、テーゼにParaParaの振り付けをつけて皆で踊ったそうです。

中国資本が席巻!物販エリア

更に会場を見て回ります。

venue

ますます混み合って来る会場

industry booth

人でぎゅうぎゅう詰めの物販コーナー、合計20店程がブースを構えていました。

poster

なぜかポルトガルでよく見かけたA5サイズのミニポスター

ここでも目についたのが、中国製の商品。
見て下さい、これ。
deathnote sakura

パッケージに堂々と中国語。

勿論!勘違いしないで頂きたいのは、私は中国バッシングみたいな事をしたいわけではないのです。
ただ、こうして海を渡り堂々とビジネスをしている精力的な中国の皆さんに対して!
日本企業も本家としてイベントに出展して下さらないかと!!!

こうしたイベントは、多くの海外アニメファンにとって唯一のアニメ製品GETの場です。
そして多くの人々は、中国語と日本語との違いに気づかず、正規品か非正規品かにもそこまで気を配りません。それが唯一手に入るものなら彼等はそれを買うのです。

オフィシャルの企業ブースではカードゲームの販売も人気でした。
一方で、漫画はあまり多く売られていませんでした。一冊9ユーロ=1100円程とお高めです。
manga
カードゲームも漫画も、共にDevirという会社が、集英社などと提携して、ポルトガル語への翻訳・出版を請け負っているようです。

不動のLeague of Legends人気!ゲームコーナー

物販コーナーの隣では、実況付きのゲーム大会。

LOL

League of Legendsの実況付きゲーム大会

主にエリアは二分されていて、かたやLeague of Legends、もう片方はポッ拳をはじめとする任天堂です。

yokai watch

妖怪ウォッチも売り込まれていた!

League of LegendsやGame of Thronesの人気はポルトガルでも非常に高い。
LOLのゲーム大会は、コスプレ大会以上の盛り上がりでした。

AMVとYouTuberも人気

アメリカ同様にAMV(日本で言うMAD映像)も人気なようで、その放映が行われていました。
一方でメキシコと共通していたのはYouTuberの人気であり、YouTuberのパネルなどは、アニメと無関係の内容であったにも関わらず大入りでした。

黄色い歓声に包まれたK-POPステージ(MVを流すだけ)

ここでも女性陣に大人気だったK-POP。K-popのMVを流すだけのコーナーがあったのですが、黄色い歓声が物凄い事になってました。
しかし人気に火がついたのはここ一、二年程のことだそうです。

KPOP

物販ブースで売られていたKPOP製品

この日はあと、イベントの主催の方ともご挨拶しました。

実は事前にメールでアポイントメントを取ろうとしていたのですが返信が無く、当日その場で色んなスタッフに「トップはどこだ」と聞き回って突撃する私のこのうざさ!!

これ、私のモットーなんですけど、「世の中はやるかやらないかの二択で、やりたい、やるべき、やれないなどの概念は存在しない」。だからやるんです、何が何でも!
主催の方は、アニヲタというよりも、バリバリの実業家肌の方で、私もその方がやっているワインビジネスの宣伝等されました。

その日は夜7時半くらいまで会場にいたのですが、さすがに疲れて、帰りにスーパーで冷凍パエリアを買ってホステルに戻りました。

宿で出会ったポルトガル人アニヲタ達

私は基本旅先では安宿なので、会場から徒歩30分ほどの、ドミトリー型ホステルに予約をとっていました。
共用キッチンで、スーパーで買った冷凍パエリアを温めようとしたところ、
先にキッチンで食事を取っていた別の宿泊客の男性三人組が、「ラーメンをたくさん作ったから一緒に食べないか」と声をかけてくれます。
こういう時に遠慮というものをしないのが、私!
ありがたやー、とお言葉に甘えて席につきつつ鍋を覗き込むと、確かにものすごい量の麺。

私「どうしたのこれ!?」
男「いや、長い1日で腹減ってたから思わず大量に作っちまったんだよ。八人前」
私「八人前〜!?というか、長い1日、とは……?」
男「イベントに行っててね、IberAnimeっていうのだけど」

歓喜のあまり思わず食べていたラーメンを喉に詰まらせる私。
喋ろうとして麺を吹く。きたない!
私「ミートゥうううううううううううう!!!!!!!」

と、そこに大量のピザの箱を抱えてキッチンになだれこむ一団が!
男(新)「Hey Guys! 長い一日だったね、ベジタブルピザ食べる?」

聞くと、彼らもIberAnime帰り。
なんと、私の宿泊していたホステルは、イベントに行くポルトガル人アニヲタ達の宿泊先メッカになっていたのです!

朝来た時は、正直、「なーんでこんな中途半端な立地のホステルにしてしまったかな〜エキチカが売り文句なのに全然エキチカじゃないよ〜徒歩30分以外にキツいよ〜」と思っていたけれど、ここに泊まってよかったと、この時確信しました。

それから日付が変わるまで、「初めて本物の日本人ときちんと話した」と喜んでくれる彼等とお話ししました。
イベントでは、ちょっぴりシャイなポルトガルのアニメオタク達、誰ともなかなかお友達になることが出来ずに困っていたのですが、ホステルで出会った彼等は皆気さくで、私にも色々と質問してくれました。

「日本人に万歳と言ってはいけないというのは本当か」
「ポルトガルのアニメファンコミュニティをどう思うか」
など、興味津々の彼等からの実に多様な質問に答えたり、何かイラストを描いてくれと言われて五分くらいで青峰君と桃井ちゃんを描いたり。本当に、私は国外のアニメファンの方と交流するのが好きなのです。

IberAnime、チケット一日目しかとれなかったし翌日は諦めようと思っていたのですが、スタッフに知り合いがいるという彼等の一人がチケットを用意してくれたので(しかしチケット代18ユーロは払った)二日目も彼等と一緒に行く事に。

イベント自体はそこまで大きくなく前日に見終わっていたので、この日は主に彼等へのインタビューというか、話をする中で現地のアニメファンの状況を探る事にしました。

王道志向のアニメファン事情 in ポルトガル

好きな作品・人気作品を色々と尋ねてみたところ、ハガレン、デスノート、デジモン、黒バスやハイキュー!などのスポーツ漫画、ワンピースなど、やはり王道作品が人気なようでした。

おそ松さんや刀剣乱舞などもコスプレイヤーを各一組程見かけましたが、おそらく多くの現地ファンはそれらの存在もあまり知らないと思われます。

osomatsusan

Artist Alleyで唯一見つけたおそ松さんグッズ

あと何故か「七つの大罪」が人気でした。

ポルトガルのアニメファンがアニメを見たり、アニメに関する情報を得るのに使うサイトは、英語のサイトが多いようです。
てっきり、ブラジルという多くのアニメファンを抱える国もポルトガル語圏なので、ポルトガル語のサイトで人気のものがあるのかと思ったのですが、
ブラジルで使われているポルトガル語と、ポルトガル国内のそれは微妙に異なるとかで、英語の方が良いのだそうです。
何より、英語での情報やアニメはネットに溢れていて見つけやすい、と。
Anime News Networkや、My Anime Listなどを使うと言っていました。

とまぁそんな感じで

二日目は皆とぶらぶらして、その日のうちに本拠地であるポルトガル北部へ帰るという彼等に別れを告げ、私も街を少し散策してから宿に戻りました。
翌日最終日、ポルトガルを離れる前にちょっとだけリズボン近郊を観光!

リスボンの街並

リスボンの街並

iberanime42

ユーラシア大陸最西端のロカ岬。

ロカ岬

岬とか半島とか、突端的な部分が私は大好きなのです。

以上、ポルトガルのアニメイベント、IberAnimeレポートでした!
次は東欧か、イスラエル・トルコあたりのアニメイベントに行きたいのですが、資金集め頑張りたいと思います……!!

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