The University of Tokyo held a special seminar about “Character Studies” taking “Touken Ranbu” as an example.
日本の大学では明治大学や京都精華大学がアニメ関連の研究が盛んなイメージですが、我が東京大学でもついに!刀剣乱舞のセミナーが開催されました。
こちらは東京大学大学院人文社会研究科文化資源学研究室の第15回のフォーラム「キャラクター考ー刀剣男子の魅せるものー」として行われたものです。
Among universities of Japan, Meiji university and Kyoto Seika University is famous for anime/ manga studies. But it seems Todai is gradually opening more classes/ courses about anime/ manga!
これ、キャンパスで偶然こちらのポスターを見つけてツイートしたところ、
800RTくらいヒットしてしまい、反響の大きさにびっくりしたという……。
にしても楽しそうな研究していますな〜!同じ東大生ながら、経済学部のすみっこでひっそりと一人「アニメビジネス研究」を語っている自分と比べ、堂々とこうした研究の出来ることの羨ましさ!
というわけで、ざっくりレポートいってみます!
Now, let’s begin the report!
ゲスト公演:陸川和男「キャラクターとはなにか」 (Guest lecture: Kazuo Rikukawa “What is a character?”)
まずはgeneralなキャラクターとはなんぞや?という講座です。
キャラクター商品マーケットの推移等、非常にベーシックながら、数字を用いた興味深い内容。
1、キャラクタービジネスの基礎 (Character business 101)
①日本人はキャラクター商品保有率が男女共に高い
Japan is peculiar in that even adults (both male and female) own some character merchandises.
②年代別に見た時に、思春期を迎えると、キャラクターへの好感度が下がる傾向があったが、近年はそれが下がらなくなってきている=それだけキャラクタービジネスの力が増している。
The trend used to show the decline of the preference of characters in general at the age of 12~14, however, recently it is not the case.
③キャラクター商品の市場規模は、大体1.5~1.6兆円で推移。2014年度、妖怪ウォッチ人気で市場拡大。2015年度もその影響は続いている。
The market size is about 1500 billion yen each year.
2、日本におけるキャラクタービジネスの歴史(The history of character business in Japan)
-江戸時代末期、人気の役者の浮世絵等が「版画」として複製して売られた。
この板権が、明治時代に版権になった。
During Edo period, Ukiyoe (Wood print) of popular actors spread among citizens.
The right of the “wood board=板” became “rights=版” in Meiji period later.
–1960’s: キャラクタービジネス黎明期(The dawn of character business)
ex) 鉄腕アトム(Astro boy)が明治製菓のパッケージに使われた。
–1980’s: ターゲット年齢層の拡大 (Target of the character business widens to adults)
(Characters get to used not only or toys but also for the products for adults such as credit card of the banks.)
ex) うる星やつらなど、お菓子や玩具だけでなく、大人向けの銀行通帳などにもキャラクターが使われるように!
–1990’s: コンテンツビジネスの興隆 (Rise of contents business)
the all-inclusive business of game/ anime/ trading cards etc based on the same characters)
ex) ポケモン (Pokemon)がアニメやゲームやカードダスにまで展開。
–2000~: キャラクター飽和の時代(Market saturation of character business)
–2010~:三世代化とMy character化
トレンド……三世代が同じキャラクター商品を嗜好+自分好みの「My character」を作る(チャンリオ)or 持つ(推しキャラ)傾向
Trend shows that 3 generations love the same characters (like Hello kitty). Trend also shows that people get to love to make/ have their “Oshichara=favorite character of their own”
学生発表(Student Presentation)
☆はじめに刀剣乱舞の動画が流れる!!!!
They first plays the PV of Touken Ranbu!
(東大の講堂に響き渡る「刀剣乱舞、始まるよ!」のかけ声……ざわざわ)
①何故刀剣乱舞が人気を博したのか?(Why Toukenranbu became popular?)
→イケメン刀剣男子を「コレクション」するという要素がユーザーの心を掴んだ (Features of collection grabs users’ minds)
②刀剣男子の表象分析(Studies of representation of Touken Dnashi)
Case Study: 燭台切光忠 (Shokudaigiri-Mitsutada)
プレゼンでは例として光忠が取り上げられていた。
(やたら燭台切の格好よさを押して来るプレゼンターさん……「せっかくの格好いいボイスなので、聞いてみましょう」
そして会場に響き渡る光忠の声(笑)
ちなみに私は断然兼さん派なので!!!!!)
・見た目:刀紋などを採用。日本刀でありながら、燕尾服や革靴を履いている。これは何故か→萌要素だから!!!
Mitsutada has some features of original sword, however, he also has some interesting western features like swallow tail suit……it is supposed to be a MOE points.
・性格:見た目を気にする台詞が多い……その数実に全台詞の1/3!
(プレゼンターさん「日常生活の1/3以上で格好よさを気にしているのです」)
Mitsutada has many phrases about “appearance”. It’s derived from his owner Date Masamune.
③媒介としてのキャラクター (Character as a medium)
・キャラクターを介したコミュニケーション……モノ(とうらぶの場合日本刀)との間に新しいきっかけを作る
Character builds a communication between Things and People.
・モノに対し、創造的な見方を提示する
Character enables people to look things in a creative way (Imagining their original characters while looking at things)
ex)既存の刀から、オリジナルの刀剣男子を想像する「オリジナル刀剣男子」
Sorry, English texts ends here. Only Japanese texts from here!
ゲスト講演 by 岡本健 from 奈良県立大学地域創造学部准教授
テーマ:「刀剣男子と共に聖地巡礼をしてみた」
そしておもむろに石切丸の台詞を読み上げ始める教授……。
「講演の依頼を頂いたとき、実は刀剣乱舞をプレイしたことが無かった」
「やらねば」
「はじめに選んだのは『聖闘士星矢』ぽかった蜂須賀虎徹」
(会場笑)
「奈良に住んでいて石切神社が近かったのだが、石切丸が出るまでは行けないという変なこだわりで、石切丸を出すために550, 660,760, 550で大物狙い!」
(会場再び笑)
ほとんどバラエティ番組のようなノリで聖地巡礼のレポートがあり、最後に少しだけ真面目な要素が。
・文化遺産へのアクセスの3つのチャネル
①身体的アクセス
②知的アクセス
③感情的・感性的アクセス
観光主体は、虚構空間、情報空間、現実空間の三つの回路を行き来する。
(すみません、本当は図があって、それが凄く分かりやすかったのですが……!)
パネルディスカッション
この後は、「徳川ミュージアム」の館長さんも加えてのパネルディスカッションンタイムでした。
(パネリスト(敬称略):
陸川和男(株式会社キャラクターデータバンク代表取締役社長)
岡本健(奈良県立大学准教授)
徳川眞木(徳川ミュージアム館長)
木下直之(東京大学教授))
水戸の徳川ミュージアムには、燭台切光忠が収蔵されており、今年の夏には展示の問い合わせでサーバーがダウンしたそうです。
(寄付金もとうらぶのリリース後急増したとのことで、お話によると、今も給料日の後に寄付金を送って来る若い女性のファンの方がいらっしゃるとか……!)
「刀剣女子は、かつての水戸黄門ファンと違い、非常に熱心で礼儀正しい。刀だけでなく、それ以外の展示物等にも気を遣い、今後も何か面白い展示を提供出来ていければいいと思わせてくれる入館者。きちんと並ぶし」
「それはたぶん、コミケ文化ではないですかね?」
(会場笑)
嬉しいですね〜〜〜!
全体として、博物館サイドからすれば、こうした文化資材を用いた創作活動と、それに刺激された聖地巡礼の興隆や訪問者増加などのインパクトは歓迎しているとのことでした。
以下、追記で簡単なメモ。
「現在のキャラクタービジネスはユーザー主導であり、サプライヤーサイドから予測をつけにくい時代になった」
「日本はキャラクターに対するリテラシーがある。キャラクターからストーリーを想像出来る。例えばふなっしーなど、中に人があることを無視して楽しむことが出来るのが日本人」
「アジアではキャラクターは受けやすいが、北米等ではキャラクター文化がないため、流行りにくい」
「男性の入館者が増えるより、女性の入館者が増えた方が客単価は高い。女性が社会をリードしていくこれからの社会で、女性が意見をオープンに出来る場があることはよいこと」
「刀剣乱舞が、日本の歴史に悪い印象のある東アジアをはじめ各国で、日本の伝統文化を伝えてゆくきっかけになるだろうと期待している」
ラスト、質問コーナーにて、東大のサブカル(ゲーム)研究分野では有名な馬場先生の話:
今回の刀剣乱舞におけるエッセンスは二つ。
「1、メディアミックスの成功(舞台等)」
「2、同人文化の取り込み」
最後にKakkyの独り言。
レベル感的には極めて導入レベルのセミナーでした。
たとえば、これは私が海外志向だからというのもありますが、「日本でキャラクタービジネスが成功した背景」を語るのであれば、
比較文化論的に、
それでは海外で同様にキャラクタービジネスが成功しやすい国はどこなのか、
それはどのようなカルチャーに基づくものなのか、
などを分析してみても面白かったのではないでしょうか?
(と思っていたら、後半のパネルディスカッションで簡単にそれについて触れられていました!)
とにかく、今後日本の漫画研究シーンがより深化していくための一ステップという意味でも、素晴らしい講義だったと思います!
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