Here is the report from Israeli Anime Con “Cami.” First, please take a look at the photos below.
イスラエルのアニメイベントの会場の様子です。
You can see the young people wearing military uniform with their guns hang the guns over their shoulders.
軍服を着て銃を肩から下げた若者の参加者を沢山目にします。
They are not cosplaying as soldiers (as many of Japanese anime fans do), but they are actual soldiers of Israel Defense Forces.
実は彼ら、ミリコスをしているわけではなく、男子三年女子二年の兵役義務のあるイスラエルで軍役に服しているれっきとしたイスラエル国防軍の方々。アニメイベントに参加したいがために、午前の兵務を終えてすぐに会場に駆けつける若者も多いとか。
イスラエルの首都であるテルアビブからバスに揺られること一時間。キリスト教・イスラム教・ユダヤ教という三つの宗教の聖地にあたる歴史都市エルサレムで、毎年夏に開かれるアニメイベントがCami(Convention of Anime and Manga in Israel)です。
イスラエルのアニメイベントは、AMAI (Association of Manga and Anime in Israel)という団体によって4月のHaruconと8月のCami、年二回行われています。Haruconがユダヤ教の祝日に当たるため学生も社会人も休みで多くの人が来場するのに比べると、平日開催のCamiへの参加者は比較的少なめだそうです。それでも第8回目に当たる2016年のCamiには、3000人を超える参加者がイスラエル各地より集まりました。AMAIが開催しているアニメイベントの他にイスラエルでは、Sci-Fi(サイエンスフィクション)のコンベンション等が開かれており、ここへも、アニメ好きはコスプレを身に纏って参加するそうです。
Camiのイベント内容は主にコスプレ・舞台パフォーマンス・物販・Artist Alley(同人ブース)、そしてパネル講演。
今回はそのパネル講演のプレゼンターとして参加した経験をもとに、イスラエルのアニメイベントの実情をご紹介したいと思います。
★開催概要
Camiはエルサレムの中央バスターミナルの目の前、ICC Israeli Convention Centerにて開かれます。
こちらがパンフレット(持ち帰る途中でしわくちゃになってしまったのですが)。ちなみにヘブライ語は右から左に読みます。
★参加者
先程の軍人さん(正式には兵役中の若者)が軍服をわざわざ着て来場しているのは、
午前中の兵務を終えてきたばかりという理由の他に、軍役中の人間は公共交通機関等の割引が受けられるためという理由からだそうです。
男女比は半々ほど。年齢層は15歳〜30歳と幅広く、年齢の高いファンもかなり多く感じます。
現地の日本大使館の方に聞いたところによると、アニメイベントに来るのは、宗教や人種ににあまりこだわらないリベラルな人々が多いので、このアニメイベントにも、ユダヤ人だけでなく、アラブ人も多く参加しているとのこと。
ただ勿論、「隣国(隣地域)」であるパレスチナからはイスラエルへの移動に規制がかかっているため、参加者は(ほぼ確実に)いないということでした。
★知的レベルの高いイスラエル人アニメオタク達
Camiでは、アニメを学問的に研究するパネル講演が非常に充実しています。
例えば今回のイベントでは、ヘブライ大学教授の江戸文化についての講演の他、一般参加者から選ばれたプレゼンターによる「アニメMV “Me! Me! Me!” に見る現代日本の援助交際の実態」「アニメに描かれる狐の表象」それから「Yaoiの歴史」など、非常に興味深い発表が行われていました。もっとも、全てヘブライ語だったため、自分はほとんど理解できず、のちに登壇者から英語で内容を解説してもらう必要があったのですが。参加者も、文化的教養の高い方が多いと感じました。
私自身は「現代日本のファンカルチャー」と題して、50分にわたり、海外と比較した際の日本のアニメファン文化、また近年のトレンドについて語りました。
具体的なトークの内容は、アニメイベント(コスプレイベント・同人誌イベント・企業主催イベント)→同人誌(同人イベントの勃興からファン主催オンリー、商業オンリーへの推移)→コスプレ(スチル撮影へ重点が置かれることや、様々なコスイベ・スタジオの紹介)→2.5次元舞台とキンプリ、その他2次元と3次元の融合について、という流れ。
朝一番だったにも関わらず180人収容の会場は満席、講演後には参加者の方々が温かな声援と拍手を送ってくれました(ちなみに講演内で一番好評だったのは、アイドル文化とアニメの関係の話、それからKing of Prism応援上映の再現でした)。
★ブース紹介
物販ブースには約30、同人ブースには約15のブースが出展していました。
同人ブースで扱われていた作品は、おそまつさんや刀剣乱舞、One Punch Manにモブサイコ100など、最近のトレンドに非常に敏感な印象。
昔のゲームを売っているブースまで!
また、ゲームエリアでは将棋や囲碁を楽しむ人々の姿も見られました。
★舞台パフォーマンス
イスラエルのイベント独自の企画に、「2D Musical」があります。これは一般の劇団愛好家がオリジナルで作った劇(ただし、アニメやゲームの要素を取り入れたもの。つまりRPG要素のあるシナリオということであって、既存のアニメや漫画原作の脚本ではないという点で、日本の2.5次元ミュージカルとは異なる)で、一番人気とも言われるコスプレ大会と並ぶ集客数を誇る人気企画になっています。
また、ライブパフォーマンスもあり、今回のゲストはパンストや進撃の巨人の挿入歌も担当している「Aimee Blackschleger」さんでした。
★コスプレ
イスラエルのコスプレイヤーさんは、自分でイチから衣装を作るDo it yourself精神に則った方が多く、衣装のクオリティも非常に高かったです。
他国のコスプレ大会だと、マーベルやアメリカの作品が多いのですが、比較的日本の作品が多いように感じました(日本:アメリカ=8:2くらい)。
レイヤーの男女比は半々の印象。
Cowboy bebopのコスプレイヤーさんがいて、聞いた話によると、Cowboy Bebopのスパイクはユダヤ人だという説が多く出回っているらしいです。ユダヤの方々は、「それってすごくJew(ユダヤ的)だよね」とか、「あのアニメキャラってユダヤ人っぽいよね」みたいな話も結構好きなようです。
ちなみにこちらのサイトでは、ユダヤ人っぽいアニメキャラクターは誰かという考察がされています。
→7 Surprisingly Jewish Characters in Anime and Manga | The Robot’s Voice
他の素敵コスプレをいくつか紹介!
イスラエルのアニメ事情
・Comikazaという漫画販売店が、テルアビブにあるそうです。Comikazaはラマッラー(!)にも支店があるとか(ラマッラーはパレスチナに位置し、ベツレヘムに続き同地域第二の都市)。
・参加者(アニメファン)は基本英語に堪能です。
・アニメ雑誌も出ているよう。誌面をいくつか撮影させていただきました。アニメーター見本市の特集などが組まれていました。
イスラエルのイベントは、欧州やアメリカのイベントのようなパーティー感はないけれど、全体的に洗練されたイベントだという印象を受けました。スタッフの対応や配置もとてもしっかりしているイベントでした。
番外編ー中東和平の可能性を握るのは……?
大使館の方に、アニメを通じた国際交流とか文化理解の可能性についてどう思われるか、と聞いたところ、ありうるかもしれない、との答えの後に、
「でも、今実際にユダヤとアラブの間の交流が一番活発なセクターはどこか分かりますか?」
と尋ねられた。
「それは……」
一瞬詰まった私の後を継いで、大使館の方は言った。
「LGBTの人々ですよ」
勿論公には出来ない。けれど誰にもトラックされない隠れたところにそうしたコミュニティが存在し、パレスチナのアラブ人とイスラエルのユダヤ人が共に国を抜け出してアメリカで付き合い始めるというパターンもあるらしい。
番外編ーテルアビブ
アニメイベントを終え、その日の夜にエルサレムからテルアビブへ移動した。
しかしこれが鬼門だった。
イベントのアフターにあたる食事(イスラエル風の寿司!)が10時に始まり12時まで。
それから、一晩お家に泊まらせてもらう友人Shiny(黒バスの青峰好き!)の友達の車でテルアビブまで送ってもらったのだが、その途中、ようやく乗り込んだ車が進まなくなってしまったのだ!何事かと思えば、テルアビブまでの道を、工事のために政府が予告無く封鎖し、それを知らずに迷い込んだ車が立ち往生していて、私達の車もそのひとつで巻き込まれてしまったらしい。
通常40分の道なのに、車は全く進まない。
後部座席に大量の荷物と共に押し込められていたので、腰も足も痺れてきて、暑さでだらだらと汗が流れ落ちてくる。
これはやばい。
運転してくれている方に申し訳ないと思いつつ、意識が途切れるのを防ぐことができない。眠りに落ちては、あまりに辛い体勢ゆえの痛みにまた目が醒める。まるで拷問。そしてようやくテルアビブに着いたのは、朝五時頃のことだった……。
(もっとも、長い旅路の果てにたどり着いたShinyの部屋はしっかりオタク要素が詰まっていて私を労ってくれた)
遅めのスタートとなった翌日は、Shinyが他のテルアビブ在住のアニメファン仲間と、私とのミーティングを企画してくれていたのだけれど、昨日の渋滞で皆体力が限界だったためキャンセルが相次ぎ、結局昨日のCamiのオーガナイザー何人かを含む五人で会うことに。
お店はテルアビブのビーチ沿いにあるMax Brewer。日本の表参道にも支店のある、イスラエル発の人気チョコレート店。
ここの特徴はとにかく量が多いこと。甘くて量が多い、だから美味しいのだけれど最後まで食べられない。お値段も高めなので、半分の量でいいからもう少し安くしてくれれば良いのに、と思う。日本市場に限ったことではなくて、イスラエルでも皆残してたから……。
テルアビブの綺麗な海、美味しいフレッシュジュースを堪能して、日本へ戻るためにテルアビブのベングリオン国際空港へ!
楽しかったイスラエル、いつかまたぜひ訪れたい国でした。
Thanks to Liron, Sem, Maayan, Shiny, and all my friends I met there in Israel!
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