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【中東縦断記】イスラエル編④〜エルサレム後編〜

     Travel log from Israel ~Jerusalem2~

      2016/11/14

エルサレム四日目。
翌日はアニメイベント参加のため、観光的には最終日に当たる今日は、丸一日を再び旧市街巡りにあてることにした。
On my fourth day at Jerusalem, I visited the Old destrict for Muslim quarter and Jewish quarter.
エルサレム旧市街の見所はたくさんある。その中には、ヤッフォ門近くのダビデの塔などお金をとるところもあるのだが、そうした観光施設よりもありのままの街の姿が見たかったため、朝からひたすら街中をぐるぐると歩いた。

①ムスリム地区:神殿の丘

まずは朝一番でTemple Mount、神殿の丘と呼ばれるムスリム地域の聖地へ。
嘆きの壁の付近から行けるはずなのだが、入り口が見当たらず、30分くらいうろうろしてしまった。案内所や係の人にも尋ねてみたのだけれど、「ヘブライ語話せる?」と聞かれ、「ごめんなさい話せないです」と言うと、「じゃあ教えることは何もないわ」とけんもほろろの対応をされてしまった。イスラエルの方、やっぱりヘブライ語が話せない人間に対して厳しい印象が強い。

ようやく嘆きの門へ通じるモロッコ門の隣、一つだけ、嘆きの壁ではなく神殿の丘へ登るための木製の渡り廊下へ続くゲートがあった。
真新しい木でできた渡り廊下を通って、嘆きの壁の奥に位置する丘の上へ。
なお、この区域に立ち入るためには、露出が少なく体のラインが目立たない格好で、ストールなどを身につけることが必要なので注意。

神殿の丘 神殿の丘

岩のドーム

神殿の丘の中央に位置する岩のドーム。カアバ・預言者のモスクに次ぐイスラム教第三の聖地。

神殿自体に入ることはムスリム以外には出来ないけれど、丘の上は人も少なく落ち着いていて、青く精密なイスラム建築がとても美しかった。
ちなみにこのドームはいわゆる礼拝所としてのモスクではなく、聖なる岩を祀るための記念堂らしい。

岩のドーム

神殿の丘

神殿の丘から臨むオリーブの丘

神殿を見終わったあとは、ユダヤ人地区にあるトンネルがTrip Advisorでの評判も良かったのでそこへ行く。
実は神殿の丘へ行く前、当日朝一に嘆きの壁の広場近くのチケットオフィスへ行って予約をとっておいたのだ。
このトンネル、同じタイムスロットの観光客たちと一緒にぞろぞろと入ったはいいのだけれど、私には本当にただのトンネルにしか見えなくて、しかも連日の寝不足が祟ったのと、あまりに暗いのとで、眠くなってしまった。ダヴィデの時代からの神殿の壁が残っているとかで、ユダヤの人々は熱心に祈りを捧げていたけれど、宗教的な理由がなければ行かなくていい気がする。

②キリスト教徒地区:聖墳墓教会

それからキリスト教地区へ。聖地である聖墳墓教会を訪れた。多くの信者の方が、キリストの墓とされる場所に跪き口づける。一方でその姿を人に写真に撮ってもらったりする人や、自分のセルフィーを撮っている人もいて、少し世俗的な感じにくすりとくる。

聖墳墓教会聖墳墓教会
そしてまた街を気ままにぐるぐると歩く。マンゴーのミックスジュースをドリンクスタンドで買ったりしながら。
エルサレムには猫が多い。

エルサレムエルサレムエルサレム
趣のある路地。

エルサレム

エルサレム

エルサレムエルサレムエルサレム
ところで私の好きな漫画にGangsta.という作品があるのだけど、その漫画の舞台であるエルガストルムという街が、エルサレムを彷彿とさせる。路地の雰囲気とかがそっくり。
強い力を持ちながら短命で差別される黄昏種という人種と、健常種とよばれる人間が争いながら暮らす、壁に囲まれた都市エルガストルム。
私にはそのモデルこそがこのエルサレムではなのではないかとさえ思えた。
ちなみにこの漫画Gangsta.本当に素晴らしい漫画なので、まだ読んだことのない方は是非チェックしてみてください。

③ユダヤ地区:嘆きの壁

午後は、現在私が家に泊めてもらっているオタク仲間のSemとMaayanと待ち合わせて一緒に旧市街を見て回る。
アルメニア人地域の小さな教会を見てから、エルサレム旧市街名物だというベーグルを食べる。

エルサレムベーグル
ベーグルと言っても、私達がイメージするドーナツみたいなものとは違う。固くて、長くて、塩と一緒に食べるのが美味しい。
エルサレムの中には、5シュケル=150円で買える珈琲やジューススタンドがあり、そこでイスラエル名物であるオレンジ+人参ジュースを購入。しばしの休憩の後、二人と共にユダヤ教の聖地である嘆きの壁へ向かう。

ユダヤ人である二人はキリスト教徒地域とユダヤ人地域にしか行く事が出来ない。ムスリム地域へは、その方向へ向かうことさえ恐れて、迂回路を取るくらいだ。
夏の日差しが燦々と降り注ぐ旧市街。観光客の姿もちらほら見かける。別に一緒に周囲を歩くくらい大丈夫なのではとも思ったが、「行けない」と言う二人の表情は硬かった。「私たちにとって、そこはとても危ないの」と。
旧市街からわずか30分ほどのところに住む二人だが、旧市街を訪れるのは数年ぶりだという。
そして嘆きの壁に到着。

嘆きの壁
嘆きの壁は向かって右が女性用のエリア、左が男性用のエリアに別れていて、女性は肌を覆った服装でないといけない。

嘆きの壁
祈りを捧げる壁の石の隙間には、願いを書かれた紙がぎっしりと詰め込まれ、祈りを終えた人々は神への背徳行為とならないよう後ろ歩きにその場を後にする。
嘆きの壁
男性の方は、頭頂部を覆うためのキッパを被り、「テフィリン(聖句箱)」という小さな箱を、黒い皮の紐でおでこと腕に括り付けている人もいる。

嘆きの壁
嘆きの壁の前の広場では、女性軍人(おそらくは徴兵制で集められた方達)が集会を行なっていた。

嘆きの壁
続いてユダヤ人地区を散策。小学校の前では子供達が追いかけっこをして遊んでいた。

エルサレム
ユダヤ教のシナゴーグにも行った。女性は礼拝所自体には入れないため、屋上から下を覗き見る形になっている。ユダヤ教では男女の礼拝は別々なのだ。大抵女性用の小さな礼拝室が男性用のメインの礼拝所の上に位置している。「女はこうして男を見下ろすことができるのよ」とSemは笑って説明してくれた。
シナゴーグはキリスト教の教会と異なり、装飾も簡素。

シナゴーグ

④エルサレムの台所、Mahane Yefuda Market

SemとMaayanが旧市街では居心地が悪そうだったので、早々に城壁を出て、旧市街と新市街の丁度真ん中にあるMahane Yefuda Market(マヘイン・イェヒューダ・マーケット)へ移動した。

正統派ユダヤ教徒

バス停にも正統派ユダヤ教徒の方がたくさん

エルサレム

マヘイン・イェヒューダ・マーケット

トラムの駅にも近いこのマーケットは、フルーツティーやザクロジュース、カナフェをはじめとする中東スイーツやドライフルーツ、ファラフェル、シュワルマのお店につやつやと光る野菜の盛られた野菜市場などで実に賑やか。
どれも写真が少しボケてしまったのだけれど、色鮮やかな市場の様子だけでも伝われば。

エルサレム

ジュースにもよく使われるざくろ

dsc00196

スイカのドライフルーツ

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ヨルダンでも食べた、中東の伝統的なお菓子カナフェ。イスラエルのものは派手な色をしていた。

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ドライフルーツとして食べることもできるお茶

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ここで野菜を買い込んだあとは、市場を離れて、日本でいうドンキのような量販店へ。お土産になりそうな死海のハンドクリーム等を買う。

ジバニャン

なぜか安売りストアでは妖怪ウォッチのジバニャンが売られていた

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市場の近くには、エルサレムのコスプレイヤー御用達だという繊維街があった。エルサレムには、民族風の衣装などに使える独特の柄の生地が多くて重宝するのだと、現地のコスプレイヤーの友達は話していた。

一日の終わり、ファストフードのスタンドで、イスラエル名物のファラフェルサンドをSemとMaayanと一緒に食べる。ジューシーなのにサクサクと口の中で軽く崩れる感じが、とても美味しかった。

ファラフェル
というわけで中東旅レポはこれにて終了。
しかし翌日のイスラエルアニメイベントレポに移る前にひとつ。

今回の旅の中で、昔から教科書で学んできた中東問題を自分の肌でもって体感した。
私の中で、この問題について自分がどのような意見を発信して、どのような行動を起こすべきなのか、まだ考えはまとまらない。
ただ感じたのは、あの場所でどんなに平和を叫んでも、その実現は難しいだろうということだ。現地に住む人々は人種や宗教の対立の中で育ってきている。対立はもはや文化のレベルで体にも頭にも染み付いてしまっている。
ではどうすればいいのかというと難しくて、近道はないのだけれど、私は一人一人のレベルで、別の文化圏に場所を移して対話することが大切なのではないかと思った。
日本含め様々な国で、イスラエルとパレスチナ双方の若者を招き対話や交流の機会を設けている団体があるけれど、それが今の段階ではもっとも有効なのではないだろうか。一度浴した文化から身を引き上げ、別の文化圏の中で、母国から距離を置き、個人として腹を割って話し合うことが。そして彼らがまた自分たちの国へ戻り、内側から、自分たちの声で、状況を少しずつ変えていくことが。

私はパレスチナの悲惨な状況を悲しく思う。しかしだからといってイスラエルを悪だと糾弾することは出来ない。エルサレムに暮らす私のユダヤ人の友人も、ヘブロンに生きるユダヤ兵も、皆優しい心を持った人々だった。そして私がイスラエルにいる間感じていたのは、それぞれの人々が異なる人種や立場の人間に対して抱える途方も無い恐怖だった。

本来人間というのはそういうものだったのかもしれない。分かり合えない他者に対する恐怖があって、それから逃れるために家族という概念が、村という概念が、国という概念が生まれていったのかもしれない。とにかくそこにあったのは、日常的なレベルの、どこか根源的とも思える「他者」への恐怖。

だからこそ、絶対に私はあなたを傷つけない、そうやって両手を開いて胸を晒した状態で対話できる場所が、必要なのではないか。

でも本当に難しい。
こうしている間にも、今日もあの土地では銃声が鳴り響いているのだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

それでは次回は、いつもの調子に戻って、イスラエルのアニメイベントレポです!しばしお待ちを!

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