※本記事は三年前にドラフトを書いたまま、推しの死に耐え切れずお蔵入りさせてしまっていたものの発掘ポストになります。
情報が一部古いこと、ご了承ください。
2017年の2月末、私はカンボジアの首都プノンペンで行われていたアニメイベントを訪れました。
正確にはアニメイベントではなく、現地の日本大使館の協力のもとで開かれた日本文化の紹介イベント「Japan Cambodia Kizuna Festival」。
なお、カンボジアでは現在「Dark Fantasy」という団体が定期的にコスプレオンリーイベントを開いているらしいのですが、私が現地を訪れた2017年時点では、この日本文化紹介イベントが唯一のアニメファンの集いの場だったと思われます。
今回はそのイベントのレポートを中心に、カンボジア旅で感じたことを書き残したいと思います。
なぜか安ければ安いほど高待遇だったカンボジアの夜行バス
プノンペンを訪れる前の一週間、私はアンコール=ワット観光の起点として有名なカンボジア北部の町、シェムリアップに滞在していました。
シェムリアップについては多くの旅行者が旅行記事を書いていると思うので、
私からは、滞在した宿「The City Premium Guesthouse」を出てすぐの大通りで見つけた、名もなきローカル食堂内のジューススタンドのミックスジュースが最高においしかったことだけを報告しておきます。
The City Premium Guesthouseは日本人が集まる安宿で、ベンメリアやプレアヴィヒアなど、郊外の見所への乗り合いツアーなどに宿で同行者を募って格安で参加できるため、ソロトラベラーには便利なゲストハウスです。
場所がうろ覚えで申し訳ないのですが、このミックスジュースを扱う食堂は確か以下の地図の赤丸のあたりーー少なくともその付近の大通り沿いで、食堂の出入口横のレジカウンターがジューススタンドを兼ねていました。
おそらくドリアンやマンゴーなどを混ぜ合わせたものと思われるのですが、他のスムージー店では味わったことのないような濃厚でまろやかな風味があり、私は滞在中毎日、一日二杯は飲んでいました。
ミックスジュース以外の、各フルーツ単品のスムージーも扱っていたようですが、なにぶん英語が通じなかったため、指差しで「全部!ミックスミックス!」と頼んだ結果、私はこのフレーバーにたどりつきました。
さて、シェムリアップから首都プノンペンまでの夜行バス移動。
この二都市間はバスがたくさん走っているので、宿で前日までにお願いすれば簡単に予約を取ることができます。
バス会社はいくつかあるのですが、いわゆるVIPバス、またはSleeping busと呼ばれる「Giant Ibis」社は片道15USドル、それ以外の会社は7〜8USドルといったところ。
私は宿泊先のCity Premium Guesthouseで、「きちんと横になって寝ることができるから、絶対にGiant Ibisがオススメ」と言われ、差額に少し迷ったものの、行きはGiant Ibisを利用しました。
ところが、この日偶然なのか車体トラブルがあったのか、バスがいつものものと違ったらしく、普通の座席(横になれない)、三列独立シートのはずが普通に四列座席、Wifi有りのはずが繋がらず、しかもピックアップ無し(なぜか安いバス会社はピックアップがあるのに、それもなくバス停まで30分くらい歩かされた……)という状態で、結構残念な夜を過ごしました。
で、どうせこんなんだったらもう普通のバスでいいや、と、プノンペンからシェムリアップへの帰りは、プノンペンの安宿に置いてあったパンフレットの中で一番安かった6ドルのバス会社を選びました。
そしたらなんと!
これが宿までのピックアップ有りの上、カーテン&枕付きの完全独立寝台ベット、Wifi完備、ふかふかの毛布、水にコーヒーにお菓子まで支給され、ぐっすり眠って帰ってこれるという、最高のバスだったのです。
こんなんだったら行きもこれにすればよかったと心底思いました。
こんなんだったら行きもこれにすればよかったと心底思いました。
投げやりで予約したせいでこのバス会社の名前を把握していないのがまたしても大変役立たずですが、あくまで私個人の経験によると、カンボジアの夜行バスは格安を選んだ方がお得でした。
(※もちろん、たまたまの例外の可能性が高いので、夜行バスご利用の際には十分安全に注意した上でどの会社のものに乗るかご判断ください……!)
黎明期のカンボジアコスプレ文化
シェムリアップから夜行バスでプノンペンへ到着した翌日、私は宿のトゥクトゥク(バイク牽引型タクシー)でアニメ・日本文化紹介イベントの会場となるCJCC(Cambodia-Japan Cooperation Center)のオフィスへと向かいました。
ちなみにプノンペンの街中を走っている時に、こんな移動カフェトラックを見つけました。
ドラゴンボール!
ドラゴンボール!
イベント会場は屋外の物販エリアと屋内のイベントエリアに分かれています。物販エリアはフリーマーケットをイメージしていただくと分かりやすいです。アニメグッズのほか、手作りの和風巾着なども売られていました。
そしてこちらが屋内で開かれていたコスプレステージの写真。
体育館のようなホールで行われています。
若い子達が多くて、どこか学芸会的な和やかな雰囲気。一人ずつステージに上がって、ポーズをとったり、コスプレダンスを披露したり。やはりBLEACHやNARUTOのコスプレが多かったです。
まだまだカンボジアのコスプレ界隈は黎明期といった印象を受けましたが、周りにコスプレ大国のタイとベトナムがあるので、数年後にはあっと驚くような技巧派コスプレイヤーさんが誕生しているかもしれないとの予感も抱きました。
ちなみにこのイベント自体は冒頭に述べたように日本文化全般の紹介イベントだったので、剣道の試合や日本語の歌のレッスンもあったのですが、その歌のレッスンの選曲が、何故かPPAPでした。
東南アジアでピコ太郎が人気とは聞いていましたが、まさか日本文化の代表曲として歌われているとは……でも、あれ歌詞日本語じゃないよね……?
さて、せっかくなので、このイベントで見かけたレイヤーさんを、一組だけ紹介。
君の名は、の二人。2017年にはどこの国を訪れても必ず見かけるペアキャラクターでした。
プノンペンのイオンモール カンボジア(元)唯一のアニメショップ
イベント後はプノンペン市街に戻り、街歩き。
宿から会場まで送ってくれたトゥクトゥクの運ちゃんから、「帰りも電話くれたら迎えに行くから」と名刺を渡されたので、まぁ宿の直属運転手だし、路上で新たに交渉してぼったくられるよりはと、その運ちゃんに帰りもお願いすることにしました。
プノンペンに唯一あるというアニメショップを訪れるため、帰りは宿に帰らず、イオンモールに行って欲しいとお願いして値段交渉。
宿に帰るのと同じ3ドルでいいと言ってくれたので、ありがたく乗らせてもらったのですが、
なんだか見覚えのある道だな〜と思っていたら、そのまま宿に到着。
なんだか見覚えのある道だな〜と思っていたら、そのまま宿に到着。
私があれ? という顔をすると、運ちゃん、あちゃ〜そうだった、と再び走り出す。
さっき帰りは宿じゃなくてイオンね、と頼んだばっかりなのに忘れてたんかい!?
まぁそうだよね、いつも宿に客を送り届けてるんだから、習慣で宿戻って来ちゃったんだよね……、
そこは仕方ないと納得したものの!
イオンモールに着いたところで運ちゃん、「宿まで+イオンモールまでで各3ドル、合計6ドル」と手を出します。
さっきと言ってること違うじゃん!!!
でもまぁ宿よりは距離のあるところに送ってもらったのは確かなので私もあまり強く言えなくて、しばらくごねた後、結局5ドル渡して帰ってもらいました。
う〜ん、海外旅あるある。金額自体は物価が安いこともあり文句を言うような額ではないのだけれど……ただ、なんとなくすれちがってしまったという感覚が、小骨のように胸に引っかかってしまうのですよね。
さて、このイオンモール。
スラムと高級住宅街のちょうど合間に位置していて、現地では人気のお出かけスポット。
私が訪れたときは一号店しかなかったのですが、その後2018年に二号店も誕生したとのこと。
この中にあるアニメショップが、イオンモール2F、『JAPAN ITEM KARIN』。
(※2020年3月現在、ネットで調べる限りは閉店してしまったようです。)
アニメショップと言っても小さなポップアップストアのような感じ。
カンボジア語のアニメ&日本文化のフリーペーパー「QtoJapon」も置いてあります。
商品ラインナップは限られていますが、フィギュアなどの商品が載ったカタログが置いてあり、
注文すると日本から取り寄せて配達してくれる仕組みのようです。
置いてある品物を見る限りは、ワンピースや黒子のバスケなど、やはり少年ジャンプ作品が人気の模様。
イオンモール内にはフードコートやDAISOもあるので、安心安全な環境で食事や買物をしたい方にもおすすめです。
海外からアニメを見るには
この記事、3年前の2017年2月に書いたもののため以下のような文章が書き散らされており、今やサービス終了しているプラットフォームについての記述だし削除しようと思ったのですが、
当時の記録としてあえて残しておきます。
↓
ところでこの日は日曜日。
機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズの放送日です。
実はそのために気が気でなくて、イオンモールの中歩きながら若干泣いておりました。(ネタバレになるので多くは語りませんが、この日は2/26、鉄血のオルフェンズ第45話放送日。先行予告カットで、主要なキャラクターが全員出て来たことから、私は「この段階で全部のキャラクターを登場させるということは、この後全員が揃うことがないという意味なのではないか。誰か死んでしまうのではないか」との不安がずっと拭えず、情緒不安定な一週間を過ごしていたのです。そしてこの日実際に放送の中で何が起きたかは、ご覧になっていない方、ぜひ自分の目で見て確かめていただきたいと思います)
これ誰の役に立つのかわからない情報なのですが、海外からでは、MBSの見逃し配信など、日本のネットアニメ配信は大抵見れません。
そこで私は旅の間はVPNを使って日本のサーバーに接続し、アニメを見ているのですが、
それもうまくいかない時は、海外向けの公式無料アニメストリーミングサイト、「DAISUKI.net」というサイトを使っています。
こちらは日本国内からは視聴できず、国ごとに観れるアニメの種類にも制限がかかっているのですが(たとえば香港からは鉄血のオルフェンズのページにアクセスできませんでした)タイやカンボジアなど東南アジア諸国からはたいていの作品にアクセスが可能で、日本での放送の大体2時間後に、8言語ほどの字幕対応でアニメを見ることができます。
もしも海外旅行中にアニメが見たくなってしまった方は、ご参考までにどうぞ!
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※DAISUKIはその後2017年10月にサービスを終了しています。
海外からアニメが見たければ、その旅先にもよりますが、欧米圏ならCrunchyrollが多くのアニメを日本語音声+英語字幕で配信していますし、中国でもbilibiliで同様に視聴可能です。
海外からアニメが見たければ、その旅先にもよりますが、欧米圏ならCrunchyrollが多くのアニメを日本語音声+英語字幕で配信していますし、中国でもbilibiliで同様に視聴可能です。
番外編:旅 – カンボジアの歴史の爪痕、義務感と野次馬根性の狭間で
コスプレ大会の前日、プノンペンを観て回る時間を一日取っていたので、
私はトゥクトゥクをチャーターし、プノンペンのキリングフィールドとトゥールスレン虐殺博物館を訪れました。
トゥクトゥクは宿のフロントで一日貸し切りで25ドルで申し込みました。
さらにたまたま宿に着いた時にそこにいた同宿の日本人男性二人組に声をかけ、トゥクトゥクシェアを持ちかけたところOKをもらえたので、三人で行動することに。
トゥクトゥクドライバーいわく、定番の市内観光コースがあるとのことでしたが、私はそれに加えネットで検索して見つけたスモーキーマウンテンにも行きたかったので、運転手さんに写真を見せ、そこに立ち寄ってもらうようにお願いしてみました。
(※シェアしようと誘った二人組にも最初に了解をもらっていたのですが、今思い返すとせっかくの観光なのに変な趣味に付き合わせてしまって申し訳なかったな、と……)
(※シェアしようと誘った二人組にも最初に了解をもらっていたのですが、今思い返すとせっかくの観光なのに変な趣味に付き合わせてしまって申し訳なかったな、と……)
なんなのでしょうね。野次馬根性と言われてしまえばそれまでなのですが、ありきたりな観光地じゃなくて、避けられているもの、削られてしまっていることを、見なくてはならないという義務感じみた衝動がいつも胸の中にあるのです。
危険とのバランスを取らなくてはならないので難しいのですが、うわっつらだけの観光スポットを見たところで、そんなのテレビでほんわか街歩き番組見てるのと変わらないじゃん!と思ってしまうのです。
そのスモーキーマウンテンはプノンペン郊外にあるキリングフィールドのすぐそばに位置しているはずだったのですが、トゥクトゥクドライバーさんの話によると、今は政府によって観光客の立ち入りが禁止されているとのことで、結局その手前で遥か彼方にある煙を指差してくれただけでした。
本当に政府に規制されているのか、単に行きたくなかっただけなのかは分からないのですが。
そして本来の目的地であるキリングフィールドと虐殺博物館。
1975年から79年にかけて続いたポルポト政権によるカンボジア大虐殺、その処刑場と、強制収容所の跡。
人間とはこんなにも残虐になれるものなのかと打ちのめされました。
苦しめる目的のためだけに人を苦しめる、拷問。
あまりに理不尽で、あまりに暴力的で、あまりに苦しい場所でした。
それがたった40年前のことなのだ。
プノンペンですれ違うカンボジア人の方々、そのうちの何割かが、実際に身をもって体験したことなのだ。
プノンペンですれ違うカンボジア人の方々、そのうちの何割かが、実際に身をもって体験したことなのだ。
今は静謐なその場所だからこそ、平穏な日常も突如暴力と血に塗れたものとなってしまうかもしれないという危機感が、生々しく胸に迫りました。
私があの場所を訪れてもう三年になりますが、思い出すだけで記憶の中の光景から血と汗と腐臭、人々の叫びがむわっと立ち昇ってくるように感じます。
トゥクトゥクツアーを終えたあとは市内に戻り、二人の日本人と別れると、私は一人歩いて、プノンペンの市内にある貧民街「ブッディン地区」のホワイト・ビルディング(White Buidling)と呼ばれる建物へ向かいました。
ここも事前にネットで「カンボジア スラム」と検索して見つけた場所です。上に書いたイオンからもほど近い場所にあるのですが、雰囲気は全く違います。
もともと60年代初頭に著名な建築家ヴァン・モリヴァンによって中高所得者層向けに建てられたアパートで、その先進的なデザインから多くの芸術家がここに住んだそうなのですが、その後70年代のカンボジア大虐殺で住人の多くが処刑されるか逃げ出すかし、その後貧しい人々が移り住んでドラッグと売春の温床となってしまったといいます。
ネットの情報には、危険な場所だと注意喚起するブログもあったのですが、私が行ったのは昼だったことと、得体の知れぬ外国人が勝手に生活空間に入るのは失礼かと躊躇してしまい建物内までは入らなかったためか、そういった雰囲気は特段感じませんでした。
ただ、建物内へは入らずとも、そこに生きる人々の生活風景を垣間見ることはできました。
走り回る子供たち、香ばしい湯気を立てて焼かれる鶏。
走り回る子供たち、香ばしい湯気を立てて焼かれる鶏。
この建物は私が訪れた半年後、2017年の夏にカンボジア政府により取り壊され、今はもうないそうです。
さらに2019年後半には、香港のIR企業ナガコープがこの土地を購入し、主に中国人観光客などをターゲットとしたカジノリゾートの建設を発表しました。
立ち退きにあたり十分な補償が与えられたとの話も耳にしましたが、あそこに住んでいた人々は今、どこに行ってしまったのでしょうか。
さらに2019年後半には、香港のIR企業ナガコープがこの土地を購入し、主に中国人観光客などをターゲットとしたカジノリゾートの建設を発表しました。
立ち退きにあたり十分な補償が与えられたとの話も耳にしましたが、あそこに住んでいた人々は今、どこに行ってしまったのでしょうか。
最後にボケた写真になってしまいますが、カンボジアのオススメスイーツを紹介したいと思います。
カボチャプリン。
プノンペン各地(地球の歩き方に乗っている屋台は夜限定)、また、シェムリアップのオールドマーケット付近(こちらは朝限定)で買うことができます。
かぼちゃをくり抜いてそこにカスタードを詰めて砕いた氷と共に食べるスイーツ。
日本でよく目にするものとは一味違った濃厚プリンでとても美味しいので、カンボジアを訪問される際はぜひご賞味ください。
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