予想の斜め上をいく、ミュージカル刀剣乱舞レポート

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<ネタバレ注意>

一部:本編(ミュージカル)約1時間半
二部:ライブ 約1時間

11/5、東京渋谷のAiiA Theaterで行われた刀剣乱舞のミュージカルを観劇してきました!
今回は日本語のみですが、簡単にレポートと絡めて2.5次元ミュージカルの楽しみ方みたいなものを書いていきたいと思います!
(Toukenranbu musical Report! Sorry it’s only in Japanese)

ところで2.5次元といわれる、所謂アニメやゲーム原作の舞台化において、楽しむポイントというのを、私は以下のように考えています。

2.5次元舞台の醍醐味

①ストーリー
②忠実度・再現度
③パロディ要素
④2次元を3次元で表現する奇天烈さ
⑤役者さんの演技
⑥キャラクター同士のインタラクション
⑦(歌?)

①ストーリー

舞台オリジナルストーリーの場合は、その脚本の完成度。
原作に沿って展開する際には、どこを切り落とし、どこを残すのか。

今回のとうらぶの舞台の場合には、ストーリーは、義経と頼朝の時代の阿津賀志山。
二人の確執と、現代の刀剣男子達の話が交互に展開され、交差してゆく構成。

ストーリー自体は王道をいくありがちな流れで驚きはありませんでしたが、かつての主に向ける今剣の想い等、泣かせる部分もあり、違和感も感じることなく全編通して見ることが出来ました。

元々ストーリー性に乏しいゲームの舞台化としては上手く組み立てられていたと思います。

②忠実度・再現度

キャラクターや世界観をいかに忠実に再現しているか。

メイクや衣装、舞台装置(2.5次元の場合はプロジェクションマッピングが多用される)、更にはBGMや、役者の声の質、喋り方などが挙げられます。

今回のとうらぶ舞台の役者さん方は、皆さん原作から受けていた各キャラの印象に近かったです。三日月宗近の喋り方などもそれらしい。岩融の佐伯大地さんなどは本当に頭身から立ち居振る舞いから惚れ惚れとする程。キャラクターを目の前にしているようでした。

ただちょっと今剣が、らしいと言えばらしいのですが、ところどころ、少し弾け過ぎかな…声も頑張って出し過ぎかな…と思ってしまうところも。

でも概してキャラクターの再現度は高かったです^^

③パロディ要素

これは忠実度と重なる部分もあるのですが、ここでのパロディ要素は、原作ファンだからこそ楽しめるメタ的要素と定義したいと思います。
裏を返せば、元ネタを知らない人には分からないポイント。

例えば、今回のとうらぶの舞台の場合、背景がゲームプレイ中の本丸の再現だったり、キャラクター達が随所で、ゲーム内のボイスと同じ台詞を喋ったりします。
本丸

それぞれのキャラの特質がありありと伺える仕草もいくつも盛り込まれていました。
例えば加州清光が何かと身だしなみを気にしたり、石切丸がやたらと祈祷していたり。主に褒められて照れる清光は、可愛さあまって見ているこちらまで気恥ずかしくなってしまう程。

加州清光

ストーリーと直接の関係は無いのですが、三日月宗近と子狐丸が内番で畑当番をやっているシーンまで見る事が出来ました。

これらは、元々のゲームをプレイした人間でなければ分かりませんが、分かる人にはクスリとくる場面です。

とうらぶの場合、このパロディ要素が他の2.5次元舞台と比べて格段に多かったように思います。

トライアル公演という事もあり、来場者が皆刀剣乱舞のコアなファンと予想される事から当然の事だとは思うのですが、とうらぶの知識のあまり無い人にとっては、何が起きているのかよく分からない舞台だったかも。

矢張りファンを惹き込むためにもファンサービス的パロディ要素は必要だけれど、原作を知らない人でも楽しめる舞台を作る事が、今後ライトなアニメユーザーや、言語に疎いインバウンド需要を取り込むためにも必要かもしれないですね(現段階では既に需要過多なので、ターゲットを広げる必要は無いのかもしれませんが)

④2次元を3次元で表現する奇天烈さ

プロジェクションマッピングや大道具を用いて、いかに二次元の世界を三次元に具現化させるかの、発想と技術、演出の見せ所。
私はこれに興味があって、今日まで数々な作品の舞台化を見に行っています。

今回の刀剣乱舞の舞台で凄いな、と思ったのが、舞台奥から手前まで、約4層にわたって備え付けられた可動式の壁(縦型スクリーン)。

スクリーンとなる壁を前後に配置する事でマッピングを行った際に奥行きが出るのです。
例えばここに刀を一本ずつ映し出すと、こんな感じに(適切な画像が見つからなかったので別アニメからの引用で申し訳ないです)

刀

あと、黒幕が異形の者へ変化していく時も、このスクリーンが活躍します。
ライティングによって、禍々しく剣が光ったり。
リーチの長い岩融の攻撃に、光のエフェクトがかかる演出も、よかったとは思うのですが、もう少しテンポ良くやってくれた方が迫力が出たかもと思いました。(光の速度が遅くて、じわじわ……お、おう。という感じ)

⑤役者さんの演技

最近は2.5次元をメインに活動される役者さんなども増えているそうで、新たな人材がドンドン参入していますね。

自分は、人生で始めてみたアニメ原作の舞台が、「薄桜鬼」で、これは最近よく薄ミュという名前でミュージカル化されているものではなく、早乙女太一さんが土方歳三を演じられた、2010年版のものなのですが、とにかくそこでの役者さん方の演技が素晴らしかった。

(あの頃は今のようにアニメ原作の舞台化が盛んではなくて、薄桜鬼の舞台化も、凄く画期的な試みだったように思います。役者さんも、早乙女太一さんという、殺陣や女形では一流の方が演じていらしたにも関わらず、座席も空席が目立っていた気がします。自分は早い段階で予約したので、前から三列目という好ポジションで観劇出来ました。)

薄桜鬼舞台
実は、この舞台が未だに、私にとって最高の舞台です。今のように、ブロマイド等の物販メインではなかったし、商業的でもなかった。ストーリーも丁寧に原作を汲み上げてあって、役者さんの演技も、とにかく粋を極めたものでした。早乙女さんが刀を振るっている時には、息を吐く事さえ出来ませんでした。
2.5次元という枠を飛び越えて、舞台としての完成度が高かったと思います。

凄く素晴らしかったのですが…パッケージがなんとも残念……。
ですが、内容は本当に素晴らしいので、薄桜鬼好きさんは勿論そうでない方にも、是非一度見て欲しい舞台です。

刀剣乱舞にしろ他の2.5次元ミュージカルにしろ、どの役者さんも厳しい競争を潜り抜けてきた方だけあって、勿論素晴らしいのですが、たとえば、歌や殺陣のプロではないがゆえ、そういった部分が少し付け焼き刃的に見えてしまうシーンがあるのも事実です。殺陣は特に……。ちょっと自分は早乙女さん基準だから目が肥え過ぎているのかも。

⑥キャラクター同士のインタラクション

漫画やアニメ、小説においては、作者の意志によって描かれる部分と捨象される部分が決まります。

それに対して舞台が独特なのは、主に動いているキャラクター以外も、常に舞台上で見られる対象であり、ゆえに、舞台上で台詞のない瞬間等にも、キャラクター同士で巫山戯合ったり、目線を交わし合ったりといった何気ないやり取りを垣間見る事が出来る点です。

刀剣乱舞の場合には、そうでなくてさえ普通のキャラクター同士のインタラクション自体が原作ではほとんど見る事が出来ないので、そうしたキャラクター同士の絡みを見る事が出来るのは非常に楽しいものでした。

加州清光が石切丸とちょっと反発し合ったり、和解したり。小狐丸が二人を仲直りさせようと見せるさり気ない心遣いだとか。

加州が必死に隊を取りまとめようとするのにとことんマイペースな三日月や石切丸、微笑ましくなる位仲の良い岩融と今剣など、キャラクターを知っている身としては幸せになれるインタラクションの数々でした。二次創作でよく見ているけれど、本丸ってこんな感じなんだろうなぁ、という。可愛かったです。結構笑わせられました。

⑦歌?

アニメが舞台化される時にはミュージカルの形を取る事が多く、それを楽しみにされている方も多いと思います。カラオケに入ったりして楽しんでいる方もいたり。

ただ、個人的には、どうしてミュージカルにする必要があったの?と思ってしまうケースも結構多くて…。役者さんも、明らかに歌向きではなくて、普通に演じられていた方がいいのに、という場合があったり、音楽を挟む分ストーリーが薄くなってしまったり。今回の役者さん方も、歌に関しては、個人的には50点……。

こればかりは人によって好みが分かれるとは思うのですが、自分は、ミュージカル化よりは舞台化の方が嬉しいです。

刀剣乱舞も、ミュージカルではない方の舞台化も決まっているらしいので、そちらも楽しみです^^

今回のとうらぶミュージカルは、音楽面にかなり力を入れていたらしく、なんとミュージカル本編と独立して、第二部にライブなんてものがありました。

ライブの方は、とうらぶとは完全に関係無い。強いて言えば、衣装が、和風アイドル仕様なのと、楽曲のいくつかに和太鼓が取り入れられている事。観客の半数は団扇やらサイリウムを持参。

自分は正直ライブには興味が無く、ただまぁ折角だからと残ってみたのですが、これが案外楽しめました。

正確に言えば、岩融の役者さんのダンスが凄く上手で(キレがあるというだけでなく、体幹がしっかり出来ていて、力の入れどころや、筋肉の制御の仕方がとても上手。見ていて、完成されていると感じました)、そのお姿をガン見していたので楽しめたというべきでしょうか。

はじめあまり意識していなかったのですが、後半、岩融が真剣必殺で脱いで、筋肉が見事な稜線を描き肩甲骨が隆々と浮き上がった御身体を拝見してから、目が離せなくなってしまったのでした、岩融……。

総括

ブラウザゲーム原作ということで、どんなものになるかと不安でしたが、自分は行って満足でした!ライブといい、想像の斜め上をいってくれました。
ただ、一度の観劇で十分かな、とも思いました。
(早乙女さんの薄桜鬼と、Live Spectacle Narutoに関しては、自分は何度行っても飽きないと感じたのですが)

今後の2.5次元舞台作品にも期待です。
今日は攻殻機動隊の舞台を見に行ってきます!

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